1.法名について
2.法名のつけ方について(その①)
3.法名のつけ方について(その②)
4.帰敬式受式(法名授与式)の場所および日時について
5.余談
ご開山(宗祖)親鸞聖人は、仏道修行に励む清僧(せいそう)ではなく、戒律と無縁な人々と共に、阿弥陀仏のはたらき(南無阿弥陀仏)によって救われていく生き方をされました。その生きざまの表明が法名「釋親鸞」の名のりです。
現在、「法名(戒名)とは、人が亡くなった後に、僧侶(お坊さん)に名づけてくれる名前」という印象を持たれています。
法名とは、浄土真宗で使われる名であり、「阿弥陀如来のはたらきに出遇い、その御法(おみのり)の中で生き、仏弟子の一味になったことを表明する名のり」です。
ちなみに戒名は、浄土真宗以外で使われる名であり、「出家して仏門に入り、戒律を受け、戒律を守りながら仏道修行に励む名のり」です。
ですので、浄土真宗は「法名」、浄土真宗以外の各宗は「戒名」が必要となっています。
法名は必要です。
阿弥陀如来のはたらきに出遇い、その御教え(みおしえ)の中で生き、仏弟子の一味になったことを表明する儀式を「帰敬式(ききょうしき)」と申しています。この帰敬式に際して、浄土真宗本願寺派 本山本願寺 より「おかみそり」を受け、ご門主さまよりいただくのが「法名」です。
どうか生前中に「帰敬式」を受け、法名をいただいてください。
生前に法名をいただくご縁がないまま、お亡くなりになった場合に限り、本山本願寺ご門主さまに代わり、所属のお寺の住職が「法名」をつけ、授与することが許されています。
なお、生前中に所属のお寺の住職が法名をつけることは出来ません。
・「法名」は、「釋○○」の二字
・「法名」は、阿弥陀如来のはたらきに出遇い、その御法(おみのり)の中で生
き、仏弟子の一味になったことを表明する名
*法・・・阿弥陀如来のはたらき
*名・・・名のり
*釋・・・阿弥陀如来のはたらきを説いてくださった釈迦如来(お釈迦さ
ま)の弟子、つまり仏弟子
釈迦の「釈」をいただいている
・「法名」は、修行の経歴をあらわす道号はありません
・「法名」は、修行生活の形態をあらわす位号(信士、信女、居士、大姉など)
はありません
・「法名」は、本来ならば生前にいただくものです
・法名釋のあとの「○○」は、現在、基本的にお聖教から二文字の選定となり
ます
※お聖教について
・釈迦如来(お釈迦さま)が説かれた経典「浄土三部経」
浄土三部経:『仏説無量寿経』
『仏説観無量寿経』
『仏説阿弥陀経』
・宗祖(ご開山)親鸞聖人が著述された聖教
主な聖教:『顕浄土真実教行証文類』(全六巻)、
『浄土和讃』『高僧和讃』『正像末和讃』など
よく法名の釋○○の二字のうち、一字をご本人の名前からいただくということが当たり前になってきております。いけないとは申すことは出来ません。実際、今では、本山本願寺では、内願法名という制度があります。(昔は内願法名という制度はありませんでした。)
また、生前に法名いただくご縁がなくて亡くなられた方は、本山ご門主に代わり、所属寺院のご住職からいただきますが、ご住職がご本人(故人やご遺族の方々)に気を遣ってか、これも二字のうち、一字を故人の名前からつけるということが当たり前になってきております。いけないとは申すことは出来ません。
一字をご本人(または故人)の名前からいただくということは、ご本人(またはご遺族の方々)も心情的には大変喜ばれることでしょう。良い名前をつけていただいたと喜ばれることでしょう。
しかしながら、
法名はあくまで、『阿弥陀如来のはたらきに出遇い、その御法(おみのり)の中で生き、仏弟子の一味になったことを表明する名』です。
ご本山本願寺の法名の選定は、現在、お聖教に基づいての選定となっておりますので、その中から選ぶべきでしょう。ご本人また故人を蔑ろにしているわけではありません。ご本人および故人の人生生活の中で、それに見合ったかたちでお聖教の中から選定することが望ましいと考えます。
宗旨 | 法名釋○○ *浄土真宗以外は戒名 | 本名(幼名) |
浄土真宗の開祖(第1代目) | 親鸞 | 松若麿 |
天台宗の開祖 | 最澄 | 三津首広野 |
真言宗の開祖 | 空海 | 佐伯眞魚 |
曹洞宗の開祖 | 道元 | 信子丸? 文殊丸? |
臨済宗の開祖 | 栄西 | 千住丸 |
日蓮宗の開祖 | 日蓮 | 善日麿 |
浄土宗の開祖 | 源空 | 勢至丸 |
臨済宗 | 一休さんで知られる(一休宗純) | 千菊丸 |
浄土真宗本願寺派 第25代目 | 専如 | 大谷光淳 |
浄土真宗本願寺派 第24代目 | 即如 | 大谷光真 |
浄土真宗本願寺派 第23代目 | 勝如 | 大谷光照 |
浄土真宗本願寺派 第22代目 | 鏡如 | 大谷光瑞 |
浄土真宗本願寺派 第21代目 | 明如 | 大谷光尊 |
一例ですが、いかがでしたでしょうか。
法名釋○○の○○について、ご本人のお名前が入っていましたでしょうか。一部には入っておられた方もいらっしゃいました。
しかし、浄土真宗の開祖「釋親鸞」の「親は七高僧と仰がれました天親菩薩さまから一字」いただき、「鸞は七高僧と仰がれました曇鸞大師さまから一字」いただいておりますことをお聞かせいただいております。
生前中に法名の字を希望する場合(内願法名)また、ご住職が法名を選定の場合は、このようにしては如何でしょうか。提案です。
例えば、所属のお寺の名前あるいは歴代ご住職の名前から一字いただいたら、如何でしょうか。勿論、もう一字はお聖教のなかから。
※あくまで法名の「名」は、要求するものではなく、いただく、頂戴するものです。
『阿弥陀如来のはたらきに出遇い、その御法(おみのり)の中で生き、仏弟子の一味になったことを表明する名』です。
法名は、こちらから要求せずに、ご門主さまが選定してくださった法名を、どのような法名の名でも、そのまま有り難く受け取って、その御法(おみのり)の中で生活させていただきたいものです。
●本山本願寺では、ほぼ毎日『帰敬式』(法名授与式)を行っています。
・朝の部:朝のお勤め(午前6時)に引き続き
・昼の部:午後1時30分から
ただし*各種法要などが行われる場合は、午後1時から
*1月1日、1月16日は朝の部は行っていません
*1月8日、12月20日は朝・昼ともに行っていません
※事前に申し込みが必要です。所属寺院にお申し込みください。
受式冥加金:成人…10,000円、未成年…5,000円
●本願寺山口別院でも、年1回『帰敬式』(法名授与式)を行っています。
・毎年11月25日 午後1時20分から
※事前にお申し込みが必要です。式の3ヵ月前(8月頃)から1ヵ月前(10
月頃)の間で、所属寺院にお申し込みください。
受式冥加金:成人…10,000円、未成年…5,000円
落語家の名前のうえには、「亭号」が付きます。姓名の「姓」にあたります。たとえば、三遊亭○○、春風亭○○など、また、林家○○、桂○○などもあります。○○が姓名の「名」にあたります。
例えば、笑点に出演なさっている方々の落語家の名前とその本名をお調べなさってみてください。落語家の名前「○○」に一字ともご本人の名前(本名)をとっている方はいらっしゃいません。
*もし、間違っていましたらご一報ください。
『落語の中で生き、師匠の弟子の一味になったことを表明する名』
落語家で生きる本当の姿であると思います。